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物理学から生物学へ180度の転身

「私のモットーは『夢を形に』。夢のない奴は研究者になるなと言いたいです」。にこやかなお顔だった升島さんの顔がきりりと引き締まるとぴしりと一言。この言葉は、実直に研究に打ち込んでこられた歴史から生まれたものでした。

元々、升島さんは生物物理学出身でしたが大学卒業後は就職が難しく、オーバードクターの時、助手のポジションがあり薬学分野に飛び込んだ。その後、広島大学総合薬学科の講師、助教授となり、1989年には薬学部の教授に就任。その間、1985年にX線光音響という物理分析法を開発し、1997年に供用を開始したSPring-8の立ち上げにも関わるなどの実績を修めてこられました。

「世界唯一のことを開発し、研究者としての喜びを知ったのは光音響が最初でした。X線を使った光音響はまだ誰もやっておらず、当初はなかなか(光音響の)振動を捉えられませんでした。最後にだめもとでやった実験が成功して、振動がぱーんと出た時には、皆で『やった!』って飛び上がって大喜びしましたね。この時から『世界で誰もやらなかったことしかやらない』と決めました」

地方大学でもやれるという熱い思いを持って研究に打ち込んでこられた升島さん。最初に薬学部の教授に誘われた時、「こりゃ心を入れ替えないけん」と、細胞をやると決意し180度の転換を図られ、今の道へと進まれました。