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人工知能による科学・技術の革新

2015年4月30日

ここのところ人工知能の周辺がざわついている。ディープラーニング(深層学習)が注目され、コンピュータが自力でネコを認識したという、いわゆるグーグルのネコとして知られる刺激的な話題もでてきた。

人工知能が与える社会へのインパクトを考える時、これまで、工業機械の自動制御など産業への応用や人間の認識をまねて人間らしい機械を作ることなどが注目されてきた。しかし、QBiC生命モデリングコアの髙橋恒一チームリーダーらは人工知能が基礎科学の研究をも後押しするだろうと考えている。研究開発が急ピッチで産業や社会構造に影響を与える今日、人工知能をいかに利用し、科学技術の発展を加速していくかを、今、見極めておくことは国家的課題であるともいえるだろう。

そこで、QBiCでは人工知能研究の専門家と様々な分野の研究者との対話の場を作ることを目指して、「人工知能による科学・技術の革新」ワークショップを企画した。

その第一回「データ中心 分子・細胞・神経生物学」を4月3日(金)、大阪イノベーションハブで開催した。

前半では国立情報学研究所とドワンゴ人工知能研究所から人工知能の研究者を招いて人工知能とデータマイニング技術の現状と将来について討議した。また後半では人工知能の生物学への応用を様々な方向から進めている研究者たちからの話題提供があった。

生物は多階層かつ動的で人間の認知能力で捉えることが難しい複雑系の代表格であるが、実験研究者と組むことで理論を実証できる課題に取り組むことで、人工知能利用の効果を最大化できると考えられる。

最後に、QBiC生命モデリングコアの泰地真弘人コア長が、細胞のイメージングや計測によってえられた多次元情報から、人工知能によって細胞の状態を表す特徴量を抽出することを目指すプロジェクトについて紹介した。QBiCでは、このプロジェクトをDECODE(DEcoding Cell from Omics and Dynamic Expression)計画と名付け、多くの研究者に参加を呼びかけている。