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生物物理の研究者として歩み始めた大学生の頃

岡田さんの研究者人生は、大学三年生になる前後、わずか半年で決まりました。物理が好きだった彼が高校生だった80年代は、物理学は90年代の大発見時代になるちょっと前のどちらかというと元気のない時代でした。そこで、まだわからないことがいっぱいある生物物理を学ぼうとまずは東大へ進みます。三年次からの学部を選択する時、理学部の生物化学科と医学部のどちらに進学するべきか悩んだそうです。当時教養学部で教鞭をとっておられた桂勲先生(現:国立遺伝学研究所所長)や大隅良典先生(現:東京工業大学教授)に相談すると、二人ともに「医学部の職業教育に潰されないのなら、医学部に進んだ方が将来絶対に得」と即答され、医学部を選択。ところが、初期の講義で、生物物理においての大きなテーマ「筋肉の収縮」について、東日本の大学ではあまり活発に研究されていないと知り愕然とします。そんな時、廣川教授の講義で神経細胞の中で物が動いているムービーを見せられ、「物が動いているのは筋肉が縮むのと同じ現象で、それが脳の中で起こっている。脳で筋肉が働く!これが自分のやりたかったことだ!」と大感激。さらに、授業をさぼって大学内で開催されているシンポジウムやセミナーにしばしば参加していた岡田さんは、そこでも廣川先生に遭遇。「興味があるなら研究室に来い」と誘われました。そこでやっと、「自分は動きについて研究したい」と思いを声にすることができたのです。そして廣川教授からモータータンパク質についてやってみてはと言われ、以来20年近く2011年にQBiCへ入るまで籍を置いて研究を行ってきました。