QBiCスプリングコース2016

- 実習コース研究テーマ -

タイトル  ラボ名 担当PI 場所
1分子計測を体験する 細胞動態計測研究グループ 柳田敏雄 QBiC棟A棟
全反射蛍光顕微鏡を用いた細胞内1分子イメージング解析 細胞シグナル動態研究グループ 上田昌宏 QBiC棟A棟
生物顕微鏡を設計し構築し、観察する 先端バイオイメージング研究チーム 渡邉朋信 QBiC棟A棟
量子ドットナノプローブによる乳がん腫瘍の生体蛍光イメージング ナノバイオプローブ研究チーム 神隆 QBiC棟B棟
多細胞生物の発生動態を4次元顕微鏡で観察し解析する 発生動態研究チーム 大浪修一 理研神戸
超解像顕微鏡を用いた神経細胞・細胞内小器官のライブイメージング 細胞極性統御研究チーム 岡田康志 QBiC棟A棟
細胞内を極低温電子顕微鏡で観察する 細胞場構造研究ユニット 岩根敦子 阪大生命システム棟
発生現象を制御する遺伝子回路の人工的作製と解析 再構成生物学研究ユニット 戎家美紀 理研神戸
コンピュータの中に細胞を作り、顕微鏡シミュレーターで観察する 生化学シミュレーション研究チーム 高橋恒一 QBiC棟A棟
進化の軌跡を実験室で解析する  多階層生命動態研究チーム 古澤力 QBiC棟A棟
脳を透明化し、全細胞を解析する 合成生物学研究グループ 上田泰己 阪大生命システム棟
試験管内で遺伝子を発現させる 無細胞タンパク質合成研究ユニット 清水義宏 QBiC棟B棟
マイクロ・ナノ微細流路を加工した「マイクロチップ」を作製する 集積バイオデバイス研究ユニット 田中陽 阪大生命システム棟

 

詳細

 

1分子計測を体験する

配属研究室
細胞動態計測研究グループ
研究室主宰者
柳田 敏雄
開催場所
QBiC棟A棟
実習内容
生命活動の維持に必須な運動機能を直接的に担う分子モーター・ミオシンを蛍光標識し、その分子動態を1分子レベルで観察もしくは力学的な操作を行う。2種類のミオシン(ミオシンV, VI)のステップパターンを解析し、ステップ様式の違いを検証する。細胞形態変化等に伴う細胞内のダイナミックな環境変化にミオシンが柔軟に対応し、生理的機能を果たす機構を明らかにするための、1分子イメージングや力学操作、モーター集合体の自己組織化のデザインを通したボトムアップアプローチを体験する。

全反射蛍光顕微鏡を用いた細胞内1分子イメージング解析

配属研究室
細胞シグナル動態研究グループ
研究室主宰者
上田 昌宏
開催場所
QBiC棟A棟
実習内容
全反射照明はカバーガラス近傍の数百ナノメーターにある蛍光分子のみを励起するため、背景光によるノイズを軽減し、感度良く蛍光分子を観察することができる。このため、全反射照明蛍光顕微鏡を用いれば、生きた細胞膜上に存在する蛍光標識した分子の挙動を1分子レベルで観察し、追跡することができる。この実習では、GPCR型の受容体や膜結合性のシグナル蛋白質を生きた細胞内で1分子レベルで可視化し、その動態の解析を行なう。こうした細胞内1分子イメージング解析を用いた細胞内シグナル伝達研究にふれる機会とする。

生物顕微鏡を設計し構築し、観察する

配属研究室
先端バイオイメージング研究チーム
研究室主宰者
渡邉 朋信
開催場所
QBiC棟A棟
実習内容
本チームでは、観察したい対象に最適な光学顕微鏡を、自ら構築し、計測を行っている。そのため、チーム内の研究者は、特定の専門領域だけではなく、遺伝子工学、細胞生物学、物理学、工学など、多岐に渡る知識と技術を必要とする。今回のQBiCスプリングコースでは、参加者に、その一端を体験して頂くために、蛍光を発する細胞を観察することを例題とした場合の我々が行う一連の作業を実習として予定している。具体的には、細胞への遺伝子導入、細胞培養を行うと同時に、レンズやミラーの光学特性を学び、顕微鏡の設計、および、構築を行う。事前知識の有無は問わないが、分野の壁を超える気合のある参加者が望ましい。

量子ドットナノプローブによる乳がん腫瘍の生体蛍光イメージング

配属研究室
ナノバイオプローブ研究チーム
研究室主宰者
神 隆
開催場所
QBiC棟B棟
実習内容
生命科学研究にとって、蛍光プローブを使ったバイオイメージングは必須技術である。近年、有機色素、蛍光蛋白質に続いて、 半導体、シリカ、ダイヤモンドなどのナノ粒子による蛍光プローブの開発が盛んである。これらナノ粒子蛍光プローブの中で最も実用化が進んでいるのは、半導体のナノ粒子(量子ドット)であり、実習では量子ドットを使った蛍光イメージング用ナノプローブを作製し、乳がんモデルマウスを使った近赤外蛍光イメージングを体験する。

多細胞生物の発生動態を4次元顕微鏡で観察し解析する

配属研究室
発生動態研究チーム
研究室主宰者
大浪 修一
開催場所
理研神戸
実習内容
受精卵が分裂を繰り返して3次元的な多細胞構造を形成する多細胞生物の発生の動態を4次元顕微鏡を用いて観察する。さらに、細胞核や細胞膜をGFP標識した胚を、4次元高速共焦点顕微鏡を用いて撮影する。画像処理を使って、撮影した画像から発生中の細胞核や細胞膜の動態を4次元計測し、発生の動態を定量解析する。

超解像顕微鏡を用いた神経細胞・細胞内小器官のライブイメージング

配属研究室
細胞極性統御研究チーム
研究室主宰者
岡田 康志
開催場所
QBiC棟A棟
実習内容
2014年、超解像顕微鏡法がノーベル化学賞に輝きました。しかし、3次元超解像顕微鏡による細胞内の高分解能ライブ観察には、まだ世界中で数カ所でしか成功していません。本実習では、皆さんにこの世界最先端の前人未踏の地を散策して貰いたいと思っています。ニューロン、軸索、樹状突起、シナプス、スパイン…あるいは、ミトコンドリア、小胞体(ER)、ゴルジ体、リソソーム、エンドソーム…
これら神経細胞の様々な構造部位や、細胞内小器官の名前は教科書で目にしたり、授業で耳にしたりしたことがあるのではないでしょうか。では、実際に見たことはありますか?
まだ誰も見たことのない、これらの構造の真の姿を、自分自身の目で見てみたいと思いませんか?

細胞内を極低温電子顕微鏡で観察する

配属研究室
細胞場構造研究ユニット
研究室主宰者
岩根 敦子
開催場所
阪大生命システム棟
実習内容
世界最先端の極低温顕微鏡を用いて真核生物の細胞を化学固定・重金属染色する事無しで細胞内の超微細構造をトモグラフィー技術を用いて観察する。得られた連続二次元像から三次元モデルを作製する解析技術を学ぶ。

発生現象を制御する遺伝子回路の人工的作製と解析

配属研究室
再構成生物学研究ユニット
研究室主宰者
戎家 美紀
開催場所
理研神戸
実習内容
私達は、生物の不思議なしくみを実際に「作る」ことで理解しようとしています。例えば多細胞生物の発生過程では、細胞同士が互いにコミュニケーションすることで、元は同じ種類の細胞が自発的に異なる細胞種へと分化します。そこで、細胞間コミュニケーションのしくみ(遺伝子回路)を培養細胞の中に再構成し、自発的な細胞分化過程が人工的に再現できるか調べています。本研究テーマでは、遺伝子回路をどうやって作るのか学ぶとともに、遺伝子回路を組み込んだ細胞を用いて、その挙動をライブイメージング・FACS・シミュレーションなどで解析します。

コンピュータの中に細胞を作り、顕微鏡シミュレーターで観察する

配属研究室
生化学シミュレーション研究チーム
研究室主宰者
高橋 恒一
開催場所
QBiC棟A棟
実習内容
細胞シミュレーター「E-Cell」を用い、分子ひとつひとつの運動まで考慮した1分子粒度で細胞内の生化学反応経路が機能する様をシミュレーションします。シミュレーションモデルの作成の基礎、高性能計算機を用いた計算実験の計画と実行、さらに「顕微鏡まるごとシミュレーター」を使った計算結果の可視化までの一連の研究の流れを体験します。予備知識は必要ありません。

進化の軌跡を実験室で解析する

配属研究室
多階層生命動態研究チーム
研究室主宰者
古澤 力
開催場所
QBiC棟A棟
実習内容
生物システムは、環境の変化に対して柔軟に適応・進化することが可能である。その適応進化のダイナミクスを解析するために、ストレス環境下での大腸菌の進化実験によって得られたストレス耐性株について、マイクロアレイを用いた網羅的発現解析あるいは次世代シーケンサを用いた変異解析を行う。そうしたデータを統合することを通じて、大腸菌がどのような適応進化のメカニズムを持っているか議論する。

脳を透明化し、全細胞を解析する

配属研究室
合成生物学研究グループ
研究室主宰者
上田 泰己
開催場所
阪大生命システム棟
実習内容
生命システムの働きを理解するためには生体の基本構成要素である細胞について,どんな種類が,どれだけの数,どこで,どれだけ活性を持っているか,という包括的な情報を得ることが重要です.本コースでは,このための1つのアプローチである動物組織を透明化して直接観察するという画期的な手法を体験します.実習では,マウス脳組織をCUBIC試薬(組織透明化試薬)で処理してシートレーザー顕微鏡で観察し,得られたデータを画像解析ソフトで全細胞解析する一連の流れを実施します.

試験管内で遺伝子を発現させる

配属研究室
無細胞タンパク質合成研究ユニット
研究室主宰者
清水 義宏
開催場所
QBiC棟B棟
実習内容
PCRにより増幅させたDNA断片を無細胞タンパク質合成システムに投入し、タンパク質合成を行うことによって、DNA→RNA→タンパク質というセントラルドグマの流れを試験管内で再現する。また、合成させたタンパク質に対して、ペプチドタグを利用したアフィニティ精製を行い精製産物の検出を行うことにより、生化学の基本操作であるタンパク質の発現・精製・検出の一連の流れを体験する。

マイクロ・ナノ微細流路を加工した「マイクロチップ」を作製する

配属研究室
集積バイオデバイス研究ユニット
研究室主宰者
田中 陽
開催場所
阪大生命システム棟
実習内容
1 mm以下のマイクロ空間の非常に特徴的な表面化学・物理特性や流体力学特性を活用して、これまで難しかった一細胞や一分子を個別に扱い、次世代のバイオや医療技術に貢献するための手法を提供するための手のひらサイズの微小流路加工基板、「マイクロチップ」を試作する。具体的には、コンピュータの素子作製などに使われる半導体加工技術である光パターニング技術・フォトリソグラフィー法をベースとし、髪の毛や蚊の針の太さ(10~100 μm)と同じかそれ以下、最小ナノメートルサイズのきわめて細い流路や構造物を基板上に実際に加工し、デバイス技術の基礎となる微細加工技術に関する理解を深める。さらに、マイクロチップを用いた分子や細胞の操作を体験する。

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