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概日時計回路の同定

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哺乳類概日時計の同定
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哺乳類概日時計は時計遺伝子あるいは時計制御遺伝子と呼ばれる正の制御因子(Bmal1, Clock, Npas2, Rora, Rorb, Rorc 及びDbp)と負の制御因子(Per1, Per2, Cry1, Cry2, Dec1, Dec2, Rev-erba, Rev-erbb 及びE4bp4)が複雑に制御し合う多重ループ構造をしている。このような複雑なネットワークは1)背後にある回路の包括的な同定と2)ダイナミクスの正確な測定なしには理解することはできない。哺乳類概日時計の礎となっている複雑で動的な転写制御回路を分析するために、まずジーンチップを用いてゲノムワイドな包括的定量的遺伝子発現解析を行い、バイオインフォマティクスにより概日振動を示す遺伝子群を同定した。
次に転写開始点(TSS)と翻訳領域でない保存配列を包括的に決定し、ゲノムワイドなプロモーター/エンハンサーデータベースを構築した。このデータベースを用いて遺伝子発現パターンと制御配列の関係を予測した。その結果、時計制御配列(CCE)であるE/E’ボックス, RREおよびDボックスが発現振動を示す遺伝子の付近に分布していることを発見した。
これらの制御配列の意義を決定するために、時計制御配列下で発現する不安定化レポーター(dLuc)を用いて概日リズムに見られる転写ダイナミクスをモニターすることができるインビトロ細胞培養系“インビトロサイクリングアッセイ系”を開発した。この系ではレポーターコンストラクトを一過的に導入したrat-1繊維芽細胞をデキサメタゾンで刺激した後生物発光を計測する。デキサメタゾン投与は概日リズムを誘発する。この系により機能的かつ進化的に保存されたE/E’ボックス、DボックスそしてRREが各々9個の時計遺伝子(Per1, Per2, Cry1, Dbp, Rorc, RevErbAb, Rora及びRorb)、7個の時計遺伝子(Per1, Per2, Per3, RevErbAa, RevErbAb, RoraおよびRorb)そして6個の時計遺伝子(Bmal1, Clock, Npas2, Cry1, E4bp4及びRorc)の上流非翻訳領域に存在することを確認し、哺乳類概日時計の背後にある転写回路を描くことができた。
更に哺乳類概日時計がE/E’ボックスへの摂動に対して脆弱性を示すことが示唆され、インビトロサイクリングアッセイにより証明された。E/E’ボックス、RREあるいはDボックスに対する負の制御因子(各々CRY1, REV/ERBAaあるいはE4BP4)を過剰発現させると各々Per2あるいはBmal1のプロモーターの概日リズムに影響が及ぶが、その程度は制御配列により異なり、E/E’ボックスが抑制を受けると最も深刻な影響が及んだ。この差は単にE/E’ボックス、Dボックス及びRREに対する抑制の強さという定量的な違いでは説明できず、定性的な違いの可能性を示唆している。
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