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1,ミオシンVaのATP加水分解サイクルとステップ発生過程の同時計測 |
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図:GFP-ミオシンVaの位置 蛍光性ATPのミオシンへの結合および解離 |
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ミオシンVによるATP結合・ADP解離過程は、全反射顕微鏡と蛍光性ATPアナログ(Cy3-ATP)を用いて可視化する事ができます。ミオシンと結 合していない時の蛍光性ATPは溶液中を非常に高速に拡散している為に、輝点として捉える事が出来ません。一方で、ミオシンに結合している時は拡散が抑え られるために、輝点として確認する事が出来ます。上の図で、ミオシンVが存在している位置に於いて、蛍光輝点が現れたり・消えたりしている様子が確認出来 ます。蛍光輝点の出現はATPのミオシンVへの結合を表しており、蛍光輝点の消失はミオシンからのADP解離を表しています。 |
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図: ATP加水分解とステップ発生の同時計測の計測系 |
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ミオシンによるステップ生成はレーザートラップ法と呼ばれる手法を用いて検出出来ます。レーザートラップ顕微鏡と全反射蛍光顕微鏡を組み合わせた顕微鏡を構築する事によって、ミオシンによるステップ発生過程と、ATP加水分解サイクルの同時計測が可能となります。 |
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実際に上記実験系を用いて、ミオシンVのATP加水分解サイクルとステップ発生の同時計測を行いました。ミオシンへのATP結
合が、ミオシンのアクチンフィラメントからの解離と同時に起こってるのに対して(上左図)、ADP解離はミオシンのステップ発生から、平均70ミリ秒遅れ
て起こる事が1分子レベルで明らかにする事が出来ました。ミオシンにADPが結合した状態ですと、ミオシンが安定してアクチンフィラメントに結合する事が
出来ます。その為に、ステップ発生後のADP解離の遅れを持つ事によって、ミオシンVはステップ発生後に安定してアクチンフィラメントに結合する事が出来
ると考えられます。このミオシンVの安定したアクチンフィラメントへの結合が、ミオシンVのアクチンフィラメント上での連続運動を可能にしてると推測出来
ます。 |
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参考文献 Komori et al. BioSystems 2008 Komori et al. Biophysical J. 2009 Nishikawa, Komori et al. Single measurement techniques 2007 |
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2, アクチン変異体が与える影響のミオシンファミリー内における違い(共同研究) |
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参考文献 T.Q.P. Noguchi, T. Komori et al. J. Bio. Chem. 2012 |
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3, 分子モーター・ミオシンを駆動力として新規人工コンテナ輸送システムの開発(共同研究) |
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参考文献 Y. Tsuchiya,* T. Komori* et al. Angewandte Chemie Int. Ed. 2010 (* co-first author) |
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